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2022建築基準法改正~伝統構法の限界耐力計算はどこへ向かうのか?? 0829追記

 伝統構法の構造計算の法改正・・・2022建築基準法の一部改正が行われます!!

 

石場建の伝統構法の構造計算の申請が大きく緩和されます。手続きの問題ではありますが、申請にかかる時間や費用が圧縮できるのは朗報だと思います。が、一方で計算自体がいまだに国としてオーソライズされたものはなく、国交省の下で行われた「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会(平成20年度設置)http://green-arch.or.jp/dentoh/による様々な調査・研究・新たな計算方法がいまだに成果として表に出てきていません。

あの膨大な時間・予算・人を使った事業はなんだったのか?

すくなくとも、経過報告くらいは国交省がすべきと思います。

 

さて本年度の改正について・・・・

今まで石場建の伝統構法の構造計算の申請は、計算が高度な?ため、構造の2重の申請・審査を受けていました。自身の能力の問題もありますが私もこの申請に2年近い時間を費やしました。それが、通常の1つの申請でよくなるという改正です。

高度な計算(限界耐力計算)は審査を受けるのではなく、構造設計一級建築士がすれば良いことになっています。

しかし、計算方法が確立していないのに。。。。どうやって判断するんでしょう???順番が逆な気がしてなりません!!「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会の新たな計算方法をまずは正しく評価し、適否を明らかにすべきと思います。

必要なら早急に、追加検討をすべきと思います。

 

概要は以上ですが備忘録もかねて詳細追記します

1)法律の制定過程について

令和4年4月22日国会提出

 「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」

 

衆議院 令和 4 525 全会一致可決

参議院 令和 4 613 可決

公布年月日 令和 4 617

 

 

立法情報は衆議院の下記のサイトで見ることができます。

https://www.shugiin.go.jp/Internet/index.nsf/html/rippo_top.htm

 

また、施行時期について国交省のホームページでは

今後、本法の施行に必要な政省令告示等の整備を行うこととなります。具体的な施行期日や政省令告示等の内容については、決定され次第、周知等します。

公布日から3年内のものとして

 ・原則全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け

 ・構造規制の合理化

 ・建築基準法に基づくチェック対象の見直し 等

とされています。

今からの3年間が大変重要ですね!

 

2)法令条文

(構造計算適合性判定)

第六条の三

建築主は、第六条第一項の場合において、申請に係る建築物の計画が第二十条第一項第二号若しくは第三号に定める基準(同項第二号イ又は第三号イの政令で定める基準に従つた構造計算で、同項第二号イに規定する方法若しくはプログラムによるもの又は同項第三号イに規定するプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。以下「特定構造計算基準」という。)又は第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第二十条の規定の適用を受けない建築物について第八十六条の七第一項の政令で定める範囲内において増築若しくは改築をする場合における同項の政令で定める基準(特定構造計算基準に相当する基準として政令で定めるものに限る。以下「特定増改築構造計算基準」という。)に適合するかどうかの確認審査(第六条第四項に規定する審査又は前条第一項の規定による確認のための審査をいう。以下この項において同じ。)を要するものであるときは、構造計算適合性判定(当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造造計算基準に適合するかどうかの判定をいう。以下同じ。)の申請書を提出して都道府県知事の構造計算適合性判定を受けなければならない。ただし、当該建築物の計画に係る確認審査が次の各号に掲げる確認認審査である場合において、当該確認審査を構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者として当該各号に掲げる確認審査の区分に応じて国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事がするとき又は前条第一項の規定による指定を受けた者が当該要件を備える者である第七十七条の二十四第一項の確認検査員にさせるときは、この限りでない

 

一 略

 

二 当該建築物の計画(第二十条第一項第四号に掲げる建築物に係るもののうち、構造設計一級建築士の構造設計に基づくもの又は当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計に基づくものに限る。)が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの確認審査(前号に掲げる確認審査に該当するものを除く。)

 

(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、査又は是正措置に関する手続の特例)

第十八条 4

国の機関の長等は、第二項の場合において、同項の通知に係る建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの前項に規定する審査(以下この項及び次項において「審査」という。)を要するものであるときは、当該建築物の計画を都道府県知事に通知し、構造計算適合性判定を求めなければならないただし、当該建築物の計画に係る審査が次の各号に掲げる審査である場合において、当該審査を構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有するものとして当該各号に掲げる審査の区分に応じて国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事がするときは、この限りでない

 

当該建築物の計画(第二十条第一項第四号に掲げる建築物に係るもののうち、構造設計一級建築士の構造設計に基づくもの又は当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計に基づくものに限る。)が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの審査(前号に掲げる審査
に該当するものを除く。)

 

【解 説】

6条の3(一般)と18条の4(公的機関)は申請者の違いで、基本的に申請の緩和は同じです。

一般的な6条の3の概要は、「特定構造計算基準」に適合するかどうかの確認審査を要するものであるときは、構造計算適合性判定を求めなければならない。ただし、当該審査を構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する建築主事がするときは、次の各号に掲げる審査である場合においてこの限りでないとあり、その一つに、「第二十条第一項第四号に掲げる建築物に係るもののうち、構造設計一級建築士の構造設計に基づくもの又は当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計に基づくものに限る」

があげられており、この第二十条第一項第四号に伝統構法の建物が該当しており、申請が緩和されるということになっています。

 

伝統構法の建物になぜ限界耐力計算が求められるのか?についても

今後記載します!! 

また、法が施行される3年後を目指し、仲間とともに限界耐力計算のあるべき姿を考えていきたいと思います。皆さんのお力添えよろしくお願いします!!

 

ぜひ、ご意見・情報お寄せください、よろしくお願いします!!