【一から考えてみる!】
・平面的考察
「立って半畳、寝て1畳」一から人の基本行動や動作スペースをもとに最小スペースを考えてみました。

必要最小限のスペースを積み上げると4人家族で16帖となりました。一人当たり約7㎡、こちらは水回りも含んでいますが、期せずして各民族の原型住居と同じ面積になりました。
洗面所や玄関、個人のプライベートな場やくつろげる居間などもう少しゆとりを持たせると、4人家族で26帖約43㎡(一人当たり11㎡)が最小限といったところでしょうか。
〈このプロジェクトの大きさを決定する〉
以上も踏まえ、外部をいかに取り込むかの平面計画・断面計画検討を重ねて、必要スペースは11㎡×5~6人 2世帯が住む床面積63㎡、2階建て高さ5.6mの伝統構法住宅としました。

【環境負荷の最小化・構造の素直な形・・・ 最小形態のもつ意義】
◆最小限住宅による環境負荷の最小化や構造上優れた形態について
・・・詳しくは別途観測データや構造計算を基にお話しします
①環境
環境負荷の低減にはそれを必要とするスペースの最小化が極めて有効です。そのためには単に面積を小さくするだけでなくボリュームを小さくする必要があります。また形状もできるだけシンプルにすることで表面積を最小化し熱損失を低減することも効果的です。
現在の省エネ政策は、産業保護が色濃く反映されていて、建てる時にできるだけ工業製品を使わない伝統構法の良さや生活の工夫は評価されにくい状況になっています。本来は各人の意思や工夫が生きるアウトプット(実際に使ったエネルギ―そのもの)に税金をかけるべきだと思っています。

②構造
小さくてシンプルなことは構造上も極めて有利です。地震の力は建物の重さに比例して働きます。小さいこと≒軽いことであり地震力が小さくなります。また、柱や梁の長さが短いことは長さの2乗、3乗で強度が増します。またシンプルな形態は力の流れが明快でどこかに無理な力がかかりドミノ倒し的崩壊が起こりにくい構造力学に素直な形態となるのです。
【都市での最小限住宅の生活や経済性、社会的意義・メリット】
- 都市部の広い土地は非常に高額ですが、狭小地なら購入価格を大幅に抑えられます。
- 駅近や商業施設、学校、病院など生活インフラが整った場所にマイホームを持てる可能性が高まります。
- 維持費・ランニングコストが安い
- 建物が小さい分、光熱費や固定資産税、保険料、修繕費などが抑えられます。
- 掃除やメンテナンスも短時間で済み、日々の管理が楽になります。
- 生活動線がコンパクト
- フロア面積が小さいため、移動距離が短く、家事動線が効率的になります。
- 水回りをまとめたり、収納を壁面や階段下に組み込むなど、暮らしやすい間取りを作りやすいです。
- 都市型ライフスタイルに合う
- 都市インフラをうまく利用しつつ、ミニマル志向の人に特に向いています。
- 車を持たず公共交通を活用する生活にもフィットします。
特に個室はコンパクト 寝る+勉強する ミニマム空間とし、皆が集える多目的な自遊空間としての機能を居間に集約、メリハリをつけ、トータル面積を圧縮しました
伝統構法と最小限の適合度
最小限住宅は「小さいからこそ質を高めやすい」ため、伝統構法のように素材・構造・思想にこだわる建築と非常に相性が良いと考えています。
ただし、法的手続きや職人確保がハードルになるため、計画段階から伝統構法に精通した設計者と組むことが必要になります。
高単価(自然素材 手作り サスティナブル)であるため、小さいことで総額を抑え実現可能性を高める、30年で陳腐化してしまう今どきの住宅と200年愛おしまれ使い続けられる住まい、社会資産としてどちらが有用かは明白であると思います。
このプロジェクトは、新しい社会の一般解への手探りでありプロトタイプの提案です。未来を創る高品質ゆえに高価格なものを普通の人々が手に届く仕組みを提示する必要がありました。その仕組みの一つの答えとして最小限住宅とする必然性もあると考えています。
これだけでは、新たな社会の実現には道半ばでありますが、一歩を踏み出したと思っています。