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伝統構法になぜ限界耐力計算が必要なのか 法規編  2018.05.09メモを改定

-伝統構法の建築基準法(以下基準法または法と呼びます)における位置付けについて-

足元を固定せず仕口に金物を使用しない木組みを基本とする伝統構法は基準法上一般的な2階建てまでの木造住宅(4号建物と呼びます)とは扱いが異なります。基準法に書いてある通りに作ること(いわゆる仕様規定)が緩和される代わりに限界耐力計算等で安全性を確認する規定となっています。


《法概要と計算方法選定までの流れ》※令は施行令の略
法20 条 建物の構造区分の確定:1項4号ロに該当、イは仕様規定の一般的な2階建て木造建築等
②法20 条 1項4号ロの具体的選択対象を1項二号イとする
③法20 条 1項二号イにおいて令36 条技術的基準令81 条構造方法への適合が求められる
令36 条 技術的基準は、第八十一条第二項第一号ロに掲げる構造計算によって安全性を確かめる場合は耐久性等関係規定に限定〈←仕様規定である足元固定等は対象外となる〉


令81 条 法20 条1項二号イの構造方法として2 項2 条ロを選択
⑥令81 条 2 項2 条ロの具体的選択対象を一号ロの限界耐力計算とする
⑦令82 条の5 限界耐力計算方法の規定条項


《詳 細》
1)(構造耐力)第二十条
「建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。」
1項4号ロに該当
「四 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するもので
あること。

(イは、 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合することとあり、政令の基準が壁量計算や足元固定等の仕様規定なので使えない

※3 法第二十条第一項第三号イ及び第四号イの政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準を除く。)は、この節から第七節の二までの規定に適合する構造方法を用いることとする。


前三号に定める基準のいずれかに適合すること。」
⇒前号1項二号イへ
「二 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高
さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。」


2)(構造方法に関する技術的基準) 令第三十六条 2項〈←国土交通大臣が定めた方法〉
「2 法第二十条第一項第二号イの政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準
を除く。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造方法を用いることとする。
二 第八十一条第二項第一号ロに掲げる構造計算によつて安全性を確かめる場合 耐久性
等関係規定に適合する構造方法。」
※耐久性等関係規定は令36条1項に定義
令36条1項・・・
「耐久性等関係規定(この条から第三十六条の三まで、第三十七条、第三十八条第一項、第五項及び第六項、第三十九条第一項及び第四項、第四十一条、第四十九条、第七十条、第七十二条(第七十九条の四及び第八十条において準用する場合を含む。)、第七十四条から第七十六条まで(これらの規定を第七十九条の四及び第八十条において準用する場合を含む。)、第七十九条(第七十九条の四において準用する場合を含む。)、第七十九条の三並びに第八十条の二(国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)の規定をいう。以下同じ。)に適合する構造方法を用いることとす
る。」


3)第八節 構造計算第一款 総則 第八十一条 2項2号ロ
「2 法第二十条第一項第二号イの政令で定める基準は、次の各号に掲げる建築物の区分
に応じ、それぞれ当該各号に定める構造計算によるものであることとする
二 高さが三十一メートル以下の建築物 次のイ又はロのいずれかに該当する構造計算
イ 許容応力度等計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国
土交通大臣が定める基準に従つた構造計算
ロ 前号に定める構造計算
⇒(前号)一 高さが三十一メートルを超える建築物 次のイ又はロのいずれかに該当する構造計算
限界耐力計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交
通大臣が定める基準に従つた構造計算


4)第一款の三  限界耐力計算 第八十二条の五
「 第八十一条第二項第一号ロに規定する限界耐力計算とは、次に定めるところによりす
る構造計算をいう。」

 

《参 考》
■耐久性等関係規定について

※42条が足元固定の規定になるが耐久性等関係規定に含まれていない

1.令三十六条の一: 構造方法に関する技術的基準
2. 三十六条の二 : 地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物等に準ずる建築物
3. 三十六条の三 : 構造設計の原則
4. 三十七条 : 構造部材の耐久
5. 三十八条第一項:基礎
6. 三十八条第五項:基礎ぐい
7. 三十八条第六項:木ぐい
8. 三十九条第一項:屋根ふき材等
9. 三十九条第四項:特定天井
10.四十一条:木材
11.四十九条:木造 外壁内部等の防腐措置等
12.七十条:鉄骨造 柱の防火被覆
13.七十二条:RC 造 コンクリートの材料
14.七十四条:RC 造 コンクリートの強度
15.七十五条:RC 造 コンクリートの養生
16.七十六条:RC 造 型わく及び支柱の除去
17.七十九条-3:SRC 造 鉄骨のかぶり厚さ
18.八十条-2:構造方法に関する補則

 

 

申請に関して以前お話ししたように「第二十条第一項第四号に伝統構法の建物が該当しており、申請が緩和されるということになっています。」

ということで伝統構法の建物は限界耐力計算を行うが、適合性判定という2重申請は必要なくなったということになります!!