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真夏の川崎民家園 石場建て 足元調査その1 2022.07.18 In case of earthquake, away from this building immediately.

今年の夏は猛暑でしたよね・・・エアコンの無い我が家はさすがに参りました。

7月18日、良く晴れた暑い暑い暑い1日でした 💦・・・・川崎民家園に石場建の足元調査に行ってきました。シロアリや腐朽菌による被害についていろいろと文献を中心に調べてきたわけですが、実態はどうなの??一見は百聞にしかずというわけです!

川崎民家園はたぶん?日本でも有数の古民家を集めたところです。以下ホームページより抜粋

川崎市立日本民家園は、急速に消滅しつつある古民家を永く将来に残すことを目的に、昭和42年に開園した古民家の野外博物館です。東日本の代表的な民家をはじめ、水車小屋・船頭小屋・高倉・歌舞伎舞台など25件の建物をみることができます。この25件全てが国・県・市の文化財指定を受けており、民家に関する民俗資料なども収蔵し、日本を代表する古民家の野外博物館の一つとなっています」

 

ホームページはこちらです

ホーム|川崎市立日本民家園

汗まみれになりながら、17世紀から20世紀初頭に建てられた7,8棟の足元周りを調査してみました。

結論から言うと、足元の柱の半数近くが取り換えられています。また取り換えられたものも含め状態の悪いものも散見されました。私の見たところ虫害ではなく腐朽によるものと思われます。 

修理報告書などは見ていません、全くの私見です、勉強不足のため間違いも多々ありそうです、ご指摘・ご意見があればぜひお寄せください。

 

まずは、実際の状況を写真で確認してください。

1)原家 明治44年(1911年)築約110年

川崎市教育委員会の文化財紹介によると

「 原家住宅は、太い柱と差鴨居を多用した木太い建築であり、2階の軒を出桁造りの二軒とし、寄棟造桟瓦葺の奥座敷・裏座敷の屋根の軒も出桁造りとする、明治期の建築に特有の骨格の太い豪気な気風を備えている。木材は、外部の軒と1階見え掛かりの構造材及び造作材に欅を用い、2階に欅と檜・杉など良質の材料を豊富に使い、全てにわたり丁寧な仕上げを施している。特に、木材の継手と仕口の工法は伝統的な技術を継承・発展させたもので、その種類は多様で、しかも精緻であり、明治期の木造建築技術の水準の高さを示している。」とあります。

(民家園ホームページより転載 )

 

 

足元まわりは、全体的にはこんな感じ・・・・



 

 

こんなところもちらほらと・・・・

水を吸い上げて少し白く劣化していますが、触っても硬いです!

 

ここは玄関ですが、足元を拡大するとこんな工夫が・・・

石に接している木口(木の切断面)からの水の吸収を抑えるため おそらく鉛のシートを敷いています。

 

この写真がわかりやすいのですが基本的に欅で作られた建物であることがわかります。

この住宅は民家園の中では築年数も浅いこと、またおそらく欅という木材の耐久性により柱や束の補修は見受けられませんでした。最も条件の厳しい土台(地面に接する水平材)には一部取り換えがありました。

 

足元まわりを詳しく見てみましょう。

・・・少し腐朽?経年劣化していますが触っても硬くてまだまだ大丈夫そうです。

 

 

 

拡大すると・・・・・

ここは少し傷んでいます。

 

 

 

湿った北側はこんな感じ

コケや白いカビのようなものも見受けられ 木材にとっては厳しい条件です。

ただし、現状は表面の被害のように見受けられました。

被害を受けていたところをピックアップするとこんな感じです。私見としては、

常に湿気が高くなっている場所や、木の小口の水の吸い込みへの配慮が不足したところに多少ですが被害があるように思われます。また移築されたこの場所は山を切り開いた?ため裏にまじかに山を背負っており年中じめじめしている印象をうけました、これは元々あった場所よりもかなり条件は悪くなっているような気がします。できればもう少し裏側を風通しの良い場所にしてほしい。。。

耐久性の高い木材を適切に使えば100年以上は使用に耐えうると思わせてくれる原家でした。

・・・その2に続く